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活き活き情報マガジン

──家に帰ると、知らない人間がいた。
あと、知ってる人間もいる。

基祐「多々さん、山入端さん、どうしたんだ?」
多々「あ、基祐くんお帰り」
山入端「邪魔してるよ」

自宅の店舗部分(大して広くない)に、大人が五人ほど押し寄せていた。
狭苦しいを通り越して、息苦しいレベルである。

山入端「今、神瀬さんにインタビューさせてもらっているんだよ」
基祐「インタビュー?」
多々「そう。今度、落葉ノ原でフリーペーパーを発行することになってね。その記事にするんだ」
基祐「はぁ?」

フリーペーパー? 記事? インタビュー?




多々「落葉ノ原の各家庭に無料で投函して回るんだ。『活き活き地域情報マガジン R-25』っていうんだけど」
基祐「パクリじゃねーか……」
多々「R-25のRは、落葉ノ原のRだよ」
基祐「怒られるのを覚悟だって言うなら、止めはしねぇけど」

基祐「それで、ウチの姉さんになに聞いてんだ?」
山入端「店の紹介と、着付けに関する疑問を解決、という二つの話らしい。あとで写真撮影して、カラーで載せるそうだ」
基祐「へぇ……」

そりゃまた、随分張り切ってるこって。

静 「いいことを聞きました!

基祐「うわっ!?」
静 「山入端さん、あたしにはインタビュー、ないんですか?」
山入端「いや、きみにインタビューするという話は聞いていないが……」
静 「ぜひあたしにもお願いします、ってゆーか、写真撮影お願いします!」
山入端「それはわたしが決めることではないんだが……」
静 「あたしに、発行部数を伸ばすいいアイデアがあるんですよ」
山入端「ほう?」
静 「それはズバリ……水着撮影です!」
山入端「み、水着……? 地域情報紙で水着?」
静 「そうです。地域情報紙とは言え、タダじゃ発行できませんよね。ということはスポンサーからの広告収入でまかなってるんでしょうけど、そのためには読者を増やさないと、スポンサーがつきません」
静 「そのための水着です。これで若い男性の興味を丸かじりですよ!」
基祐「削ってどうすんだ」

また妙なこと言い出しやがって。

静 「上手く行けば、きっと広告収入も倍率ドン、さらに倍ですよ。山入端さんの懐もあったまるはずです……!」
山入端「ほう……それは面白い」
基祐 「おいコラ!」

乗せられるな、守銭貴族め!

──ややあって。

山入端「おい、カメラマンくん。ちょっときてくれ」
カメラ「は、はい。なんでしょう?」
山入端「実はな……」

……

夜 「──で、またわたしが被害者ですか!?」
山入端「これも村のためだ。我慢してくれ」
夜 「いつもそう言って、結局我慢してるのはわたしだけですよ!?」
静 「いいからホラ、胸元開いて」
夜 「うひゃあ!? や、やめてちょうだい!」
静 「なーんだ、嫌だのダメだのいいながら、ちゃんと下に水着来てるじゃないですか。実はその気だったんじゃないですか?」
夜 「そ、そんなこと……!」
静 「じゃあ行きましょうカメラマンさん。まずは夜さんのグラビア撮影、その後にあたしの撮影で!」
カメラ「わ、わかりました」

記者「うぅ……なんでこんなことに」
カメラ「仕方ないですよ……山入端さんに逆らったら、年金記録を『誤って』消されちゃうかもしれませんよ……!」
記者「わ、わかってる。しかし……!」

山入端「ではよろしく頼むよ」
カメラ「は、はい! じゃあ撮りますよ! まずは和服を着崩したシーンから!」
夜 「うぅ……どうしてこんな目に。こ、こうかしら」

静 (フフフ……夜さんの撮影は、所詮煙幕……! あんな体でグラビア撮影したところで、誰も興味を惹かれるはずないもの)
静 (そこへ、どさくさへ紛れて撮影したあたしのグラビア……! 凹凸のない体にウンザリしている読者の目に鮮やかに飛び込む、この豊満なボデー!)
静 (これで落葉ノ原全体の男の……ひいては基祐さんの視線を、あたしの体に五寸釘で打ち付ける!)
静 (完璧な作戦だわ……!)
静 「ふふふ……」
基祐「?」
静 「ははは……っ」
基祐「……」
静 「わぁーはーっはっはっはぁ!」
基祐「えーと、確か冷蔵庫にプリンがあったな……」
静 「──」

──そして、活き活き情報マガジンは発行された。
各家庭に投函された、翌日のこと。

基祐「さて、行くか」
静 「あ、どこ行くんですか?」
基祐「今日はタクシーじゃなくて、ちり紙交換の仕事」
静 「へー……そんなこともやってるんですか」
基祐「専業でやってけるほど、世の中甘くないのよ」
静 「ふぅん、大変ですね。……ねぇ、あたしも行っていいですか?」
基祐「なにしに?」
静 「いや、なんとなーく。どんなことするのかなって」
基祐「……まぁいいけど。ついてくるなら手伝えよ」
静 「はぁい。じゃ、レッツゴー!」

──そうして、団地の前まで軽トラでトロトロやってきた。
各家庭の前には、新聞紙を詰め込んだ袋、雑誌の束なんかが積み上げてある。

基祐「さぁて、やるか」
静 「おー!」
基祐「……って、おお、いきなりお宝発見!?」
静 「え? なんです?」
基祐「エロ本が捨ててある。こういうのって、興味なくてもつい見ちゃうよなぁ」
静 「なんだ……もう。これだから男の人は……」
基祐「……」
静 「……?」
基祐「……ガッカリだ」
静 「……どうしました?」
基祐「エロ本じゃなかった」
静 「え?」

わざわざ解いてまで取り上げたソレをポイっと投げ捨てる。

静 「あたしにも見せてくださいよ。どれどれ……」
静 「……」
静 「……ってコレ、昨日配った情報紙じゃないですか!」
基祐「だからガッカリなんだよ」
静 「ひどい……あたしのスンばらしいグラビアを、昨日の今日で捨てちゃうなんて……」
静 「あぁっ!? よく見たら、あっちにもこっちにも! みんなひどい!」

基祐「ガッカリなのはそれだけじゃねぇよ」
静 「え……? あっ!」
基祐「わかったか?」
静 「……」
静 「どうして……夜さんのピンナップだけないの?」
静 「切り取られてる!? これも……こっちも、それも! 全部夜さんだけ無い!」
基祐「お前のひどいグラビアだけの情報紙なんて……あーテンション下がるわマジで。帰ろ」
静 「ちょっ! ちょっと待ってください! なんであたしだけこんな目に!? どう考えてもあたしのほうがセクシーでプップビドゥなのに!」
基祐「お前本当に17歳か? ……さておき、マジで理由わかってねーの?」
静 「え……?」

基祐「落葉ノ原の人口分布を考えりゃ、一発だろ」
静 「人口分布って……」
基祐「わかってる? ここ、落葉ノ原だよ? 限界集落一歩手前の寒村だよ?」
基祐「お前が狙いにした、若い男なんてほとんどいないの。いるのはじーさんばーさんばっか」
静 「あっ……」
基祐「じーさんばーさん相手に、かたや和服をはだけさせた着物美人の写真。かたやエゲつないM字開脚やら紐みたいな水着をきたビッチの写真。どっちがウケる?」
静 「うぐっ……!」
基祐「まぁ……お前じゃ、若い男が多かったとしてもウケないだろうけど」
静 「どういう意味ですか!」
基祐「それで、自分のグラビアを総スカン喰らって捨てられまくってた感想は?」
静 「……」

静 「自分が出てるエロ本が道端に捨てられたとき、こんな気持ちになるんでしょうね」
基祐「……ちょっとだけ同情してやるよ」

──そんな感じに騒ぎつつ、村を一周してちり紙を回収し、それを業者に渡し、自宅に帰ってきた。
なお、意外とサクサクと仕事が進んだので業者も喜んでくれて、便所紙をたくさんくれた。半年くらい持ちそうな量だぞコレ。

夜 「あ、お帰りなさい」
基祐「おう。どうだった、今日は」
夜 「うん。それがね、近所の人がたくさん来てくれて……」
夜 「みんな写真を見て、『素敵』とか『可愛い』とか、『女らしい』って褒めてくれたの」
夜 「写真取られるのは恥ずかしかったけど……その、ちょっと嬉しかったかも」
基祐「そうかそうか。だってあの写真、随分よく撮れてたもんな。エロいけど下品じゃないっていうか。本当に抱きたくなる女ってのは、きっとあんな感じだぜ」
夜 「やだもう、基祐ったら……」
基祐「──それにひきかえ、まるで股間に訴えかけられないがここに」
静 「なっ! なんですかソレ!」
基祐「ただ脱ぎゃいいってもんじゃないんだよ。なぁ?」
夜 「わ、わたしはよくわからないけど……基祐がそういうなら、そう、なのかな」
静 「ぐっ……! まな板と洗濯板を足して、そっから洗濯板とまな板を引いたような人に見下されるなんて……!」
基祐「なにも残らねーじゃねぇか」

夜 「あ……そうそう鹿島さん。山入端さんから書類が届いてるわよ」
静 「え、あたしに? どれどれ」
静 「えーと……『先日の撮影費、機材費、諸経費として******円請求いたします』……って、えぇぇぇ!?」
静 「なっ、なんであたしだけ? 夜さんは!?」
夜 「わ、わたしのところにはきてないわよ……?」
基祐「さすが山入端さん……金にならないヤツには容赦ねぇ……!」

ガラッ

多々「おうおう、邪魔するぜ!」
静 「多々さん!?」
多々「おー、丁度いいところに。鹿島さんよ、アンタ、いつになったら金払ってくれるんだい!?」
静 「か、金って……まさかこの請求書!?」
多々「こっちも慈善事業でやってんじゃねぇんですぜ!? アンタが自分で使った金は、キッチリ耳揃えて返していただきやしょうか!」
静 「ひぃっ!?」
多々「とりあえず、金になりそうなものはいただいていきやすぜ。さぁ、着てるもん寄越しな!」
静 「いきなり身ぐるみ剥ぐんですか!?」
多々「さぁ脱ぎな! ハァハァ、は、早く脱ぎなさいよッ!」

夜 「──少し地が混じってるわね」
基祐「あぁ、ちょっと安心した」

静 「いやぁーッ!」
多々「ハァハァ、まだ暖かい……クンクン……っていや、それは後にして……」
多々「このくらいじゃ利息にもなりゃしませんが……まぁいただいていきますよ」
静 「うう……あたしたち、これからどうなってしまうの……?」

基祐「いや、俺たちカンケーねぇから」
夜 「『あたしたち』じゃなく『あたし』が正解?」

多々「またこさせてもらいますからね。そんときまでに、しっかりお金を用意しといてくださいよ」
静 「そんな……! こんな大金どうやって……!」
多々「なぁに、アンタはまだ若い。いくらでも稼ぎようはあるでしょう」
多々「その体を売れば、ちょちょいのちょいでしょう? ヘヘヘッ!」

多々「……あー、これは独り言ですけどー、ぼくだったら一回十万で買ってもいいかなー。独り言だけどー」
静 「……」
基祐「……」
夜 「……」

多々「ンンッ!(咳払い) じゃあ、今日のところは帰らせてもらいやす。でもまた、近いうちにお邪魔させてもらいますぜッ」
静 「二度と来ないで、この疫病神ッ!」
多々「ワッハッハ! 恨むんならアンタを残して消えたダンナを恨めってよォー!」

……

基祐「……色々突っ込みどころ満載だったけどそれはさておき、どうすんだこれから」
静 「……」
静 「ひとつだけ、起死回生の策があります」
基祐「ほう、マジか?」
静 「はい、それは……」

静 「着エロアイドルとして、山入端さんのプロデュースでデビューすることです!」
基祐「懲りろッ!」



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  1. 2010/10/26(火) 23:46:54|
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