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ラクヨーノハラ.NET その二(落葉の夏SS

あらすじ
自治会長の山入端さんが「わしは欲しいんじゃ! 円を! ドルを! ユーロを!」と言うので、とりあえず税収を増やそうと会議を開いたいつもの三人(山入端、多々、夜)
その一環として、他所から住人を誘致するための村おこしVTRを作ったらしい。それでは再生、スタート

基祐「うー……」
したい、猛烈に。
ナニがって? そりゃあもう、ナニに決まってるじゃないの。
今日は疲れたからな。そのせいかもしれんな。
基祐「ということで、取り入だしたるは携帯電話」
スゲーんだぜコイツ。聞いて驚け、なんと二つ折りにしてポケットにしまえるんだぞ。
この衝撃といったら……アレだね。ゲームボーイがカラーになったとき以来だね。まぁポケットが出た時点で十分衝撃だったが。
基祐「で、このHMX-69(エイチエムエックスとシックスナイン:俺が勝手につけた愛称)で電話をかける相手は……」

……

静「──はい、静御前こと鹿島静です」
静「いいぢゃないですかカワイコぶったって! てゆーか、ぶってないですよ事実なんですから」
静「え、御託はいいからさっさと来いって? わ、わかりましたよもう……」

……

基祐「ようビッチ」
静「会うなりなんですか!」
基祐「自分で『静御前』とか言ってたけど、静御前って遊女だぞ。つまりお前、名実ともに商売女」
静「そこではなく、『しずかごぜん』という響の美しさだけを受け取って欲しいですね。あぁしずかごぜん……なんて甘美な響。まるでランチタイムのサラリーマンの味方……」
基祐「『御膳』じゃねーよ!」
静「……それはそうと、呼び出したのはなぜです?」
基祐「あぁそうだったな。単刀直入に言っていい?」
静「はぁ、どうぞ」
基祐「二人で抜刀術ごっこしようぜ」
静「はぁ?」
基祐「俺が刀で、お前が鞘。抜刀し、納刀する。その繰り返し」
静「……」
基祐「……」
静「三文字で表現してください」
基祐「SEX」
静「……」
基祐「……」
静「『抜刀術ごっこ』のどこが単刀直入なんですか! わかりにくいったらないわ!」
基祐「まぁまぁ、細かいこたぁいいの。今ね、猛烈に需要が高まってんだよ。これを逃したら、お前との供給が釣り合う場面は二度とないよ?」
静「およそ人にモノを頼む態度じゃないですね……。しかも思春期の高校生女子に向かってその話題」
基祐「嫌なのか?」
静「いや、その……まぁ、嫌というわけじゃないんですけど……」
基祐「じゃホラ、車の中が涼しいから。実はこのシート、全部倒すとフルフラットになるんだぜ」
静「うわ本当だ。このタクシーってこんなに広かったの……」
基祐「特注だからな」
静「こういう時のために?」
基祐「予定では、飲み会帰りの酔っ払ったOLがターゲット」
静「えげつなっ! アレですか。それで草むらの中で降ろして『泣いても叫んでもムダだぁ』『キャーイヤー!』ってことですか」
基祐「車内がフラットになるっつってんだろが。それに、ちゃんと合意を得てからに決まってる」
静「本当ですかぁ?」
基祐「ま、そこでちゃんと『No』と答えられる酔い加減のオネーチャンは狙わないけど」
静「まったく……そういうことばっかり用意周到なんですから。あーぁ、なーんか冷めるなぁー」
基祐「いいからさっさとしろ!」
静「急に口調が変わった!? ……わかりましたってば」

……

基祐「フゥー……」
静「背中を向けて、タバコを吸うのは、嫌われる行動の、ランキング上位らしいですよ……」
基祐「息も絶え絶えでなに言ってんだオマエ」
静「あれだけ『ガンガンいこうぜ』で攻められたら、そりゃ息も切れますよ! ……っていけない、忘れてた!」
基祐「ん? なにをだ」
静「夜さんに買い物頼まれてたんですけど……あちゃぁ、財布からして忘れちゃってますね。ちょっとお金貸してくれませんか?」
基祐「しゃーねぇなぁ。いくら?」
静「500円です」
基祐「安っ。そんだけ?」
静「はい。買うものは、こんにゃく、ティッシュ、写真週刊誌だけですから」
基祐「なにその怪しいラインナップ……」
静「とにかく行ってきますね。夜さんには、もう少ししたら戻るって伝えてください」
基祐「わーった」
静「じゃあまたー」

基祐「……とりあえず家に戻るか」

……

基祐「ふぁー……晩メシ食って腹いっぱい、眠くなってきたな」
夜「──基祐、いる?」
基祐「あぁ、いるけど」
夜「……」
基祐「どうしたよ、こんな夜更けに」
夜「そ、そのぅ……」
基祐「あん?」
夜「お姉ちゃんを抱いてっ!」
基祐「ぬおっ!? ど、どうしたんだいきなり!」
夜「実はその、テンション上がっちゃって眠れなくて……」
基祐「テンションが? なんでよ」
夜「コレ……」
基祐「『週刊・本当にあったエッチな話』って……はぁ?」
夜「鹿島さんに買ってきてもらったんだけど……意外とハードでね? もうお姉ちゃんドキドキなの……」
基祐「こんなの嘘っぱちに決まってんだろ……」
夜「いいからお願い。それともイヤ?」
基祐「イヤというわけじゃあ……」
夜「じゃあいいじゃない! さっさとしなさいよ!」
基祐「急に口調が変わった!? つーか、静のときと逆の展開だな」
夜「鹿島さん? あの子がどうかしたの?」
基祐「いーやなんでも。わかったよ、じゃあホラ」
夜「はぁい」

……

基祐「はぁー……」
夜「ふー……」

(プルルルッ)

夜「あっ、電話だ、もしもし──あら、向かいの奥さん! こんばんはぁー! え、なに、どうしたの? あらヤダ本当? そーなの? えぇ、えぇ……」
基祐「……よくいきなりそのテンションに戻れるよな」
夜「えぇ、そうそう、ウチもそうなのよ! 男ってそんなもんよねぇ、こっちの言うことなんか聞きゃしないんだから! あははっ、そうなの? やぁだーもー、うん、うん……」
基祐「聞いてねぇし」

電話が終わるの待ってたら、時計の長針が一周しちまう。

基祐「寝るか」
夜「あっ、ちょっと待って基祐。あぁ、すみません、こっちの話で……えぇ、そうなんですよ、相変わらず大飯ぐらいで……」
基祐「どっちと話してんだよ!」
夜「ご、ごめんなさい。この前、生地の納品の時にお金立て替えてもらったでしょ。その三万円、引き出しの二番目の入れておいたから」
基祐「あぁ、あの金。でもアレ、二万五千円だったろ?」
夜「お釣りはとっときなさい。とにかく、ありがと。……すみません、え? いやだわ奥さんったら。そんなんじゃありませんってば。ただの弟ですよぉ」
基祐「ただの弟に『抱いて』と抱きつくのか」
夜「……黙らないと麻糸で口を縫うわよ」
基祐「麻糸!?」
夜「あぁいえ、なんでも。ちょっとね、基祐が繕い物をして欲しいみたいで。えぇ、年とってもヤンチャなのは相変わらずですよねぇー」
基祐「お、俺は逃げるぜ! 悪いがとてもかないっこねぇ!」
夜「え、おたくもそうなんですか? やっぱり精神年齢低いですよねぇ男って。いい年こいても車だの模型だの。いい加減卒業して欲しいですよ──」

……

基祐「はぁはぁ、なんでこんなことになってんだ」

ゆっくり寝ようと思ってたのに、気づけば熱帯夜の中を中距離ダッシュだ。
大体、麻糸で口を縫うって。それを通す針の太さはどんだけなんだっつーの。

基祐「……ん?」

前から誰か来るぞ。こんな夜中に誰だ?

基祐「おーい、どうしたんだこんな時間に」
?「……」
基祐「聞いてんのか? 俺だよ、神瀬! 声でわかるだろ!」

落葉ノ原の、特にこの辺りの住人は、近所の垣根なんてものがないようなもの。どこの誰かなんて、声を聞けば一発。

基祐「おい、アンタ!」

……のはずなんだが。返事がない。
仕方ないので、星明りでお互いの顔を識できる距離まで近づいて……。

基祐「おい、アンタ誰? 隣のジイサン?」
多々「……」
基祐「わっ、なんだ、多々さんかよ……こんな時間に何してんだ?」
多々「……」
基祐「ちょっと、聞いてんの?」
多々「……」
基祐「多々さん?」
多々「ウンバァーーーッ!!」
基祐「うわぁーっ!?」
多々「ホルホル!」
基祐「ほ、ほるほる!?」
多々「オ、オオオ、ホルホル!」
基祐「ほるほるってなんだよ! ……ってうわ! 多々さんどーしたのその顔!?」

目はくぼんで暗いのに、何故か爛々と光って見える。髪はボサボサで、突き出された両手は不安定にガクガク揺れている。足取りもおかしい。
まるでゾンビのような……。

多々「ホルホルホルーッ!」
基祐「アブネッ!?」

飛び掛ってきたところを慌ててかわす。そのままもつれて倒れた多々さんだが、すぐに立ち上がると、またしても。

多々「ホォル!」
基祐「なんなんだよ! マジでゾンビじゃねーか!」

よく見りゃ、撃ち殺す相手としてスゲェしっくりきそうな顔つきじゃねーか!
こりゃホンマモンのゾンビだぞ!

多々「ホルホルホル!」
基祐「そんなに食いたきゃ、二区画進んで左に曲がれ! 行きつけのモツ焼き屋があるだろ!」
多々「オマエ、ホルホル!」
基祐「ギェーッ、俺の肉か!? 自慢じゃねーが、確かに俺の肉は美味そうだもんな! 気持ちはわかるぞ!」
多々「……」
基祐「何故そこで黙りやがる!」
多々「ウホォーッ!」
基祐「し、しまったァーッ!」

くそ、まんまと捕まっちまった! このままでは喰われる!?

多々「ビリビリーッ!」
基祐「キャーイヤー! 脱がさないでぇー!」
多々「ホルホル!」
基祐「ん? なんでズボンだけ破いてこっち見てんの?」
多々「ホルホルッ!」

えーと、ホルホル?
ほるほる。
……掘る掘る。

基祐「そういうことかァーッ!?」
多々「ウッホゥ!」
基祐「だじげでぇーっ!!」

トイレに行けない体にされるぅー!!

多々「ホォッ!?」
基祐「なっ、なんだ!?」
多々「うっ、う、うう……」
基祐「多々さんの体に……月明かりが?」

ちょうど雲の切れ目から差し込んだ月光が、多々さんの表情を照らす。
それは、徐々に人間らしい形へと姿を変えていき……。

多々「……はっ!? ぼ、ぼくはなにを!?」
基祐「目が覚めたのか! よ、よかった、これで紙おむつの心配はなさそうだな……!」
多々「これは一体……」
基祐「説明すっから、とりあえずどいてくれよ」
多々「……」
基祐「多々さん?」
多々「この状況……据え膳?」
基祐「ちげーよッ!」
多々「いかなる状況でも据え膳はいただくもの! ゆくぞ、ドリルスペシャルッ!」
基祐「掘るんじゃねーッ!」
多々「──っふんぐぉっ!?」

……

基祐「……という話なのさ」
多々「そうだったのか。それはすまないことをしたね。ごめんよ」
基祐「しかし、なんだってこんなことに?」
多々「ちょっと憑依の練習をしてたんだ。今日は月が出てるから安全だと思ったんだけども、いつの間にか陰ってしまったようだね」
基祐「ふーん……なにを憑けようと思ってたんだ?」
多々「あぁ、実はね──」
基祐「どうせ、アンタ好みの女の霊とか、歴史上の美女とかだろ」
多々「しっ──」
基祐「……あ?」
多々「──けいな!」
基祐「ん……? あぁ、『失敬な』ね」

そんなに強調したかったの?

多々「ぼくはだね! 尊敬する母上の霊を呼ぼうとしたんだよ! そんな下種な考えだと思われるのは心外だよ!」
基祐「そ、そうだったのか。……そりゃすまん」
多々「写真でしか見たことがない母上だけど、それはそれは立派な巫女さんだったようだよ……。父上がいつも、母上の生涯を英雄譚として語ってくれたものさ……」
基祐「そりゃ、よっぽど凄かったんだな」
多々「そうさ。母上は生涯純潔を守り通し、その身に宿した聖なる力といったら、この国では比類する相手がないほどだったというよ」
基祐「……ん? じゃあアンタ誰よ」
多々「エ?」
基祐「あんたのカーチャン、処女なんだろ? じゃアンタ誰?」
多々「……」
基祐「……」
多々「馬鹿馬鹿しいッ!」
基祐「うわっ!」
多々「こうのとりに決まってるでしょぉーーーー!?」
基祐「んなわきゃあるかっ!」

ガキへの方便だろそれは!

基祐「つまり、カーチャンの武勇伝ってのはトーチャンの作り話、じゃなきゃアンタは腹違いとか養子とか、そういうことだろ」」
多々「蓮の中に包まれてたに決まってるでしょーーーが!」基祐「目を覚ませッ!」
多々「アイタッ!」
基祐「てゆーか俺、アンタのカーチャンに会ったことあるし。写真でしか見たことないとか嘘じゃん」
多々「……」
基祐「ま、確かに綺麗な人でオーラっぽいものもあったけどね。普通にアンタのトーチャンとカーチャンが抜刀術ごっこして、アンタができたんだろ」
多々「生臭い表現しないでくれよ……」
基祐「とにかく、いい加減目を覚ましなさい」
多々「わ、わかったよ。ううむ……」

多々さんはパンパンと両手で顔を叩いて、咳払いを一つ。

多々「……確かに、慣れないうちは納刀の際に指の付け根を斬ってしまい、血が出るという。抜刀術ごっこと言うのは言い得て妙だね」
基祐「真面目に考え込んでんじゃねぇ!」

生臭いのはどっちだ。

基祐「……で、カーチャンを憑依させて何をしようとしたの?」
多々「あぁ。親子で愉しむのもアブノーマルでいいかなぁと思って──」
基祐「車で突っ込むから、そこの太い木の前に立ちな。山入端のおっさんに頼んで、アンタの墓石用意しとくから」
多々「うわわわっ! さ、さようならっ!」
基祐「……どうしようもねぇな」

……


山入端「……」

多々「こ、この映像は……」
夜「まさか撮られてたなんて……」

山入端「皆の衆には悪いが、これも村おこしの一環だ。伏して耐えてくれぃ」

夜「これのどこが村おこしなんですか!?」

山入端「慌てるな。VTRは以上だが、次はこのチラシを見たまえ」

夜「チラシ?」
多々「どれどれ……」

……

「基祐『あー、なんかいいことないかなー』

カノジョもおらず、毎日を退屈に過ごしていたボク。

基祐『……ダメもとで登録してみるか、この「ラクヨー娘.NET」ってところに』

どーせ無理だろうなと思って始めてみた新生活ですが、なんと!

静『アァーン、イッちゃう~ん!』
基祐『うひょー!』

なんと、たった500円で女子高生とヤリまくれるわ……

夜『イイわぁ! もっとメチャクチャにしてぇっ!』
基祐『たまんねーっス!』

夜『ありがとね、ボク。これ、お小遣い』
基祐『三万円も!?』

年上のオネエサンとパコパコできた上に、お小遣いまでもらえちゃう!

基祐『うひゃー、こりゃ止められないっス!』

ダメもとで始めた『ラクヨー娘.NET』ですけど、しばらくはハマッちゃいそう!
今後も長い付き合いになりそうっス!

※アナタ次第で、お好みの男性パートナーを探すことも可能です!」

……

山入端「どうかね?」

多々・夜「出会い系の広告かッ!!」
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  1. 2010/08/10(火) 22:40:34|
  2. SS(落葉の夏・B面)
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